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読書

『恋って何ですか? 27人がすすめる恋と愛の本』で紹介されている本

投稿日:2020-02-16 更新日:

河出書房新社の『14歳の世渡り術』シリーズの一冊です。

目次

  1. 『恋って何ですか?』概要
  2. 感想
  3. 日本の小説
  4. 海外の小説
  5. 詩集・歌集
  6. 漫画
  7. その他
 

1.『恋って何ですか?』概要

小説家、学者、俳優といった方達が恋にまつわる本を紹介しています。
27人の方に取り上げられている本は全部で30冊。小説から漫画、哲学書まで、紹介者のバックグラウンドが多様なら紹介される本も多様、紹介文(中には漫画もあり)もまた様々です。

2.感想

『14歳の世渡り術』シリーズということで軽めで読みやすい本が取り上げられているのかと思いきや、ラインナップを見るとそうではなさそうなことが分かります。実際に紹介文を読んでも重たそうな本の多いこと。本当にこれを14歳に紹介するの?と思う本もありました。
また、取り上げられている小説と漫画には実らない恋の話、同性愛など様々な愛の形を描いた作品も多くあります。「恋って何ですか?」という問いに対して、恋も愛も一口には語れないこと、必ずしも幸せなものとは限らないけれど尊いものでもあることが示されているのかと感じました。

本作はブックガイドですが、お薦めする理由を書く中で結末まで触れている紹介文もあり、本を紹介することの難しさを感じました。もちろん結末が分かっていてもそこにどう向かうか、そこ至るまでの展開や心の動きを読む楽しみはありますが、やはり結末を知らない方がより楽しめるのではと思ってしまいます。
個人的によかったと思うのは北村薫さんによる『恋の本、本への恋』(本のタイトルではなく紹介文のタイトルです)。数ページの文章ですが読み物としても面白く、取り上げられていた『アダムとイヴの日記』にも興味が湧きました。

3.日本の小説

以下、『恋って何ですか?』で取り上げられている本を紹介します。
本作では「Ⅰ 恋って何ですか?」「Ⅱ 七つの恋の結末」「Ⅲ 恋から愛へ」という3章に分けられていますが、ここでは本の種類で並べています。

田辺聖子 著「ジョゼと虎と魚たち」

紹介:蒼いブルー
9つの話からなる短編集の表題作です。
実写映画化されているのは知っていましたが(2003年公開)、2020年夏にアニメ映画が公開されるというのを今回調べていて知りました。

三浦しをん 著『ののはな通信』

紹介:新井見枝香
「のの」と「はな」というふたりの少女が主人公。ふたりの関係が変化し、やがて大人になっていく姿を、手紙やメールのやり取りで描いた作品です。

小松左京 著「握りめし」

紹介:木皿泉
SF作家である小松左京さんが女をテーマに描いた短編集『旅する女』の中の一編で、戦時中の日本を舞台とした作品です。

神林長平 著『戦闘妖精・雪風〈改〉』

紹介:宮澤伊織
人工知能・雪風を搭載した戦闘機とそのパイロット・深井零を主人公に、人類とジャムという異星人との戦いを描いたSF作品です。

樋口一葉 著『たけくらべ』

紹介:小池昌代
吉原の遊女の妹と僧侶の息子、金貸しの息子といった少年少女達の姿と淡い恋を描いた作品。映画やドラマ、宝塚でのミュージカルにもなっています。

坂口安吾 著「桜の森の満開の下」

紹介:死後くん
坂口安吾さんの代表作のひとつで、舞台や映画にもなっています。極端な愛の形を描いた、美しさと怖ろしさが隣り合わせの短編です。

中里恒子 著『時雨の記』

紹介:長沼毅
大人の恋を描いた、映画化もされている作品です。

綿矢りさ 著『勝手にふるえてろ』

紹介:宇垣美里
恋愛経験なしのOLが、理想と現実、中学時代の片思いと今自分に想いを寄せてくれる相手との間で揺れ動く姿を描いた作品です。2017年に映画にもなっています。

佐野洋子 著『100万回生きたねこ』

紹介:七海ひろき
繰り返し繰り返し、100万回も生まれ変わっている猫が主人公の絵本です。

4.海外の小説

ジョゼフ・ベディエ 編『トリスタン・イズー物語』

紹介:澤田瞳子
誤って媚薬を飲んでしまったことで恋に落ちた王の甥・トリスタンと王妃・イズー。中世のヨーロッパでまとめられた物語で、いくつかの種類があるようです。

パオロ・バチガルピ 著『ねじまき少女』

紹介:藤井直敬
近未来のバンコクを舞台としたSFで、アンドロイドの少女・エミコがキーパーソンのひとりです。2009年と比較的最近の作品。

フョードル・ドストエフスキー 著『白夜』

紹介:サンキュータツオ
舞台は白夜のサンクトペテルブルク。ひとりの孤独な青年のある少女への恋を描いた作品です。

ジョルジュ・ローデンバック 著『死都ブリュージュ』

紹介:皆川博子
妻を失った男性が亡くなった妻によく似た女性に出会って惹かれていき…ブリュージュというベルギーの都市を舞台とした作品で、『死の都』というオペラの原作でもあります。

カズオ・イシグロ 著『日の名残り』

紹介:三浦直之
執事のスティーブンスの一人称で語られる過去の記憶。「信頼できない語り手」ものの作品です。

マーク・トウェイン 著『アダムとイヴの日記』

紹介:北村薫
あのアダムとイヴが日記をつけていた、という作品。右のページに本文、左のページにイラストという構成だそうで、北村薫さんによる紹介文も同様の形式になっています。
北村さんがはじめに読んだ旺文社文庫版、福武書店版との出会いについて触れ、「河出書房さんも是非に」というようなメッセージで締めくくられているのですが、2020年1月に河出書房新社からも発売されているのですね(『恋って何ですか?』の発売は2019年11月です)

(2020.03.21追記)
★紹介と感想はこちら→マーク・トウェイン 著『アダムとイヴの日記』

エドモン・ロスタン 著『シラノ・ド・ベルジュラック』

紹介:彩吹真央
シラノ・ド・ベルジュラックという実在の人物を主人公に描かれた戯曲です。ミュージカルにもなっており、彩吹真央さんはシラノが想いを寄せる女性・ロクサーヌを演じました。

チャールズ・ディケンズ 著『二都物語』

紹介:井上芳雄
ロンドンとパリのふたつの都市を舞台に、フランス革命頃の時代を描いた作品です。こちらもミュージカルになっており、井上芳雄さんはルーシーという女性に想いを寄せる弁護士・カートンを演じました。

5.詩集・歌集

R・D・レイン 著『好き? 好き? 大好き? Do You Love Me?』

紹介:榎田ユウリ
イギリスの精神科医による詩集です。『恋って何ですか?』で引用されている内容を見るに対話形式の作品のようです。

小佐野彈 著『メタリック』

紹介:金原瑞人
小佐野彈(おさの だん)さんの第一歌集で、2019年には現代歌人協会賞を受賞された作品です。

ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ 著『ゲーテ詩集』

紹介:清水亮
『若きウェルテルの悩み』や『ファウスト』で有名なドイツの文豪・ゲーテの詩集です。

岡本太郎、岡本敏子 著『愛する言葉』

紹介:尾上右近
岡本太郎さんとそのパートナーである岡本敏子さんの言葉をまとめた一冊。敏子さんは太郎さんの奥様なのかと思いましたが、おふたりは結婚はしておらず、敏子さんは養女なのですね。

6.漫画

竹宮惠子 著『風と木の詩』

紹介:山田ルイ53世
フランスの寄宿舎を舞台に少年同士の同性愛を描いた作品で、小学館漫画賞を受賞されています。コミックスで17巻、文庫で10巻とボリュームは多めです。

鳥野しの 著『ボーイ★スカート』

紹介:トミヤマユキコ
ある日、ひとりの男子生徒がスカートをはいて登校してきた。女装したかった訳でも女性になりたい訳でもない。そんな主人公とその彼女、主人公の理解者となるクラスメイトの女子を中心に描かれた作品です。

木原敏江 著『摩利と新吾』

紹介:高殿円
摩利と新吾のふたりを主人公に、旧制高等学校を舞台として描かれた作品です。摩利という名前は女性的にも感じますが男性です。文庫で10巻、河出書房新社から発売されている完全版は全部で5巻です。

7.その他

吉岡乾 著『なくなりそうな世界のことば』

紹介:竹輪大学大学院言語学研究室
世界の少数言語を取り上げ、研究者の方々が選んだ単語にイラストと紹介文を添えて並べた一冊です。

『新明解国語辞典』

紹介:竹輪大学大学院言語学研究室
日本で一番売れている小型国語辞典(三省堂の宣伝より)だそうです。恋に関する単語を調べてみよう、という流れで紹介されています。

坂本真樹 著『愛される人がさらりと使っている! 女度を上げるオノマトペの法則』

紹介:竹輪大学大学院言語学研究室
会話にオノマトペ(擬態語や擬音語など)を上手く取り入れることで自分の魅力を上げよう、という一冊。

スティーブン・ピンカー 著『心の仕組み』

紹介:竹輪大学大学院言語学研究室
心と脳について進化心理学の観点から書かれている、上述の3冊とはまた趣の違った一冊が紹介されています。

三枝和子 著『恋愛小説の陥穽』

紹介:上野千鶴子
夏目漱石、太宰治、三島由紀夫…日本を代表する男性作家による恋愛小説を取り上げ、その女性観について述べた評論集です。私自身この本を読んだことはないのですが、14歳にこれを薦めるのかと驚いた一冊です(そもそも取り上げられている作家、作品を知らなくても楽しめるものなのでしょうか…)

プラトン 著『饗宴』

紹介:岡本裕一朗
対話形式で書かれている(プラトンの著作のほとんどがそうなんですね)プラトンの哲学書。ソクラテスらが愛について語る一冊です。ソクラテス、プラトン、アリストテレス…古代ギリシャの哲学者の名前は知っていても、その著作となると何となく取っつきづらく感じます。これまた14歳に薦めるのかと驚いた一冊です。

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