目次
1.作品情報
舞台:ミュージカル『レ・ミゼラブル』
製作:東宝
観劇:2017年6、7月@帝国劇場、2019年5月@帝国劇場
原作:『レ・ミゼラブル』(Les Misérables)
著者:ヴィクトル・ユゴー
『レ・ミゼラブル』の日本語訳はたくさんありますが、私が読んだのは豊島与志雄さんによる抄訳(岩波少年文庫)です。
豊島与志雄さんによる完訳は岩波文庫から発売されていますが、青空文庫になっておりKindleの無料本でも入手することが出来ます。
2.舞台を観る前に原作を読んだほうがいいか?
私自身は舞台を観てから抄訳を読み、まだ完訳は読み終えていない状態ですが「原作と舞台のどちらが先でもよい」と考えます。
理由1:原作は大河小説
完訳は文庫で4~5冊のボリュームになります。この量をいきなり読むのはハードルが高いと思います。
また完訳版では時代背景の描写などの描写も多いです。例えば冒頭はミリエル司教の人となりを示す話が続き、しばらくジャン・バルジャンは出てこない、といった具合です。
抄訳であっても上下巻なので舞台に興味を持った方が気軽に読めるかは微妙なところでしょうか。
理由2:ストーリー紹介が充実
ミュージカル『レ・ミゼラブル』は全編歌の演目で、全体に照明が暗めのシーンも多い印象です。
予備知識なしで観ると話についていけない可能性があるものの原作をすべて読むのは大変です。
抄訳を読んでから舞台を観るという手もありますが、そこまでしなくても公式ウェブサイトあるいはプログラムのあらすじが充実しています。
理由3:舞台はハイライト
相当なボリュームの原作を3時間のミュージカルにしていますが、舞台は舞台で綺麗に話がまとまっています。
話を追うという点では上述の通り事前にあらすじを見ておけば十分と考えます。
一方、舞台がハイライトであるため、抄訳であっても舞台には描かれていない話があり、舞台を観た後に原作を読んでも新鮮な気持ちで楽しむことが出来ると思います。
理由4:ストーリー展開にどきどきする話ではない
…と、思っています。あっと驚く展開がある訳でも大きな謎が隠されている訳でもない、と。
魅力的な楽曲の数々、オーケストラの生演奏の迫力、『民衆の歌』や『ワン・デイ・モア』の熱量。原作を読んだ上で舞台を観ても舞台の感動は全く薄れません。
3.舞台と原作の比較
上述の通り舞台はハイライトなので、原作には舞台で描かれていないエピソードが多数登場します。
» 以下原作(抄訳)のネタバレあり
一番驚いたのはテナルディエ夫妻にはエポニーヌ以外にも複数の子供がいて、ガブローシュもそのひとりであったことでしょうか。
最終的にテナルディエは娘(=エポニーヌの妹)と共にアメリカに渡るのですが、マダム・テナルディエはその前に亡くなっています。舞台が結婚式のナンバーで盛り上がるのとは全く異なる展開ですね。
ジャン・バルジャンに連れられたコゼットが美しく成長するまでの話や、マリウスとコゼットが惹かれあっていく様子、テナルディエとマリウスの関わりも詳しく描かれます。
(2019.03.17追記)
★岩波少年文庫の抄訳を年表にしました→『レ・ミゼラブル』年表(岩波少年文庫版)
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★他の作品についてはこちらから→舞台と原作の比較:舞台を観る前に原作を読んだほうがいいか?