※ネタバレありの記事ですのでご注意ください。
『神様のカルテ』シリーズの主人公・栗原一止。夏目漱石を敬愛し、いささか古風な話し方をする内科医です。
変人栗原と言われるように少し風変わりな一止ですが、女性からの人気は高く『神様のカルテ』シリーズでは一止に想いを寄せる人物が複数登場しています。
この一止に惹かれる女性達について、いずれも一止の1歳(1学年)下では?という点と合わせて紹介したいと思います。
目次
1.一止の年齢
『神様のカルテ』冒頭で医師5年目と述べられています。
よりはっきりと分かるのは『神様のカルテ3』で、医師6年目で30歳の誕生日を迎えています。
(ちなみに深志神社の例大祭(天神祭り)2日目が誕生日ですので、7月25日生まれのようです)
医師6年目で30歳なのでストレートで医師になったことも分かります。
2.栗原(片島)榛名
まずは一止の妻・榛名です。一止への想いは言わずもがなですので、ここでは榛名の年齢について考察します。
ふたりが出会ったのは一止が医師になって1年半が経つ頃、『神様のカルテ』の3年前ということから一止が医師2年目のことです。
前述の通り一止はストレートで医師になっており、この年度で満26歳です(榛名と出会ったのは夏の日とのこと、26歳になるかならないかというときでしょう)
榛名の年齢は直接は書かれていませんが、以下の文章から推測は出来ます。
東京の美術大学を卒業し、写真家として働き始めて二年が経過していた。御嶽荘での生活は、そんな彼女に、家を出て自立するためのほどよい機会をもたらしたのであった。
(『神様のカルテ』より)
大学を卒業して2年が経過していたということですので、御嶽荘に住むようになったのは社会人3年目のことになります。
大学(大学院ではなく)をストレートで卒業しているとすれば一止と出会った年度で満25歳、つまり一止の1学年下になります。
3.進藤(如月)千夏
一止の大学の後輩で、後に進藤辰也の妻となる如月千夏ですが、『神様のカルテ2』で一止に好意を抱いていたことが示唆されています。
「千夏は……」
(『神様のカルテ2』より)
一瞬声を途切らせた辰也は、すぐに語を継いだ。
「千夏はずっと、栗原に憧れていたから」
また年齢についても『神様のカルテ2』で一止の1学年下(一止が医学部3年のときに千夏は2年)であることが述べられています。
4.東西直美
本庄病院の看護師である東西直美については年齢の描写があります。
東西は二十八歳にして病棟の主任看護師にまでなった極めて優秀な女である。
(『神様のカルテ』より)
肩越しにちらりと振り返った大狸先生に、東西が腕を組んだまま微笑んだ。
(『神様のカルテ3』より)
「私、まだ二十八歳ですから」
『神様のカルテ』は一止が医師5年目、『神様のカルテ3』は医師6年目の話ですが、東西の年齢はいずれも28歳となっています。
つまり『神様のカルテ3』の上記のシーンではまだ誕生日を迎えていないことが分かります。
本人の「まだ」28歳という言葉からも、東西の年齢は『神様のカルテ3』の年度で満29歳、一止の1学年下と考えられます。
東西の一止への好意は彼女の軽妙な言葉から察することが出来ます。
「あら、変なこと言うのね。ファンクラブの会員ナンバー1番は私なのよ」
(『神様のカルテ2』より)
「心を射抜かれたまま一歩も前に進めない美人看護師としては、少しくらいの秘密は持っておきたいものなのよ」
(『神様のカルテ3』より)
「それに、本好きの変人に、これ以上、振り回されるわけにもいかないからね」
(『神様のカルテ3』より)
東西と言えばしばしば一止にコーヒーを出す描写が見られます。
『神様のカルテ0』では一止が東西に「こんなおいしいコーヒーは初めてです」と言うシーンがありますが、このときはまだ榛名と出会う前でした。
榛名と出会って以降の一止に取って、東西の淹れてくれるコーヒーは「世界で二番目にうまいコーヒー」なのが少し切ないですね。
5.双葉佐季子
『新章 神様のカルテ』に登場する信濃大学病院の病理医・双葉佐季子も、一止の1年後輩の医師だと書かれています。
双葉は酔った勢い?で一止のことを「惚れた男」と言っています。
研修医の鮎川に対し、一止の働きぶりをよく見ておくように言っていたところからも、医師としての一止の姿に惹かれたのではと思います。
こうして見ると一止も罪な男性だなぁと思います。
今後ここにまた新しい人物が加わってしまうことはあるのでしょうか。
★『神様のカルテ』シリーズに関する記事はこちら→夏川草介 著『神様のカルテ』シリーズに関する記事の一覧