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『神様のカルテ』シリーズに出てくる本のまとめ

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※ネタバレありの記事ですのでご注意ください。

目次

  1. 夏目漱石の作品
  2. 医学書
  3. 一止が読んでいる本
  4. 他の登場人物にまつわる本
  5. その他

【 】は登場した作品で、略称は以下の通り。
  1=『神様のカルテ』
  2=『神様のカルテ2』
  3=『神様のカルテ3』
  0=『神様のカルテ0』
  新=『新章 神様のカルテ』

 

1.夏目漱石の作品

不思議な若者であった。
履歴書を見ると、尊敬する人物も愛読書も趣味もすべて「夏目漱石」で統一されている。

(『神様のカルテ0』より)

『神様のカルテ』シリーズの主人公・栗原一止が敬愛しているのが夏目漱石です。尊敬する人物と愛読書まではまだ分かるとして、趣味「夏目漱石」となると何が言いたいのかよく分かりませんが、一止らしいとも言えます。

『草枕』【1、2、3、0、新】

シリーズ全作品で幾度となく名前が出てくる本で、様々なエピソードがあります。

  • 学童期から愛読し全文を暗誦出来るほど読んでいる。学士殿が御嶽荘を去る前夜に飲んでいるときに冒頭から朗誦した。学生時代には一局指すごとに進藤辰也に聞かせていた。
  • 毎日鞄に入れて通勤し、病院では白衣のポケットに入れている。診療の合間に再読している。
  • 学生の頃は『草枕』を片手にふらふらしていた(砂山次郎がこの様子を語るときに『草枕』が出てこず『ドサ回り』と言っている)
  • あまりにもぼろぼろになっていたので、『神様のカルテ3』で本庄病院を辞める際に東西直美から新しいものを贈られた。退職後の5日間の休みの間にこの新しい『草枕』を読んでいる。

“この小説が、『神様のカルテ』を生んだ。” ――夏川草介

(帯より)

我が筆名「夏川草介」の「夏」は夏目漱石から、「草」は草枕からとったものである。あとは川端康成と芥川龍之介から一字ずつを拝借したものであるが、いずれにしても『草枕』は特別である。

(解説にかえてより)

小学館から発行されている文庫『草枕』は『神様のカルテ』シリーズと同じくカスヤナガトさんによる表紙になっています。
また巻末には夏川草介さんによる「解説にかえて――『草枕』から漱石の世界へ――」が収録されています。この特別解説は20ページにもおよび、夏川さんの読書遍歴や夏目漱石と『草枕』に対する想いが見える内容となっています。

『彼岸過迄』『夢十夜』【1】
御嶽荘で一止の住む「桜の間」と男爵の住む「桔梗の間」の間をふさいでいた夏目漱石全集。
また一止の心に残っているという「仏師が仁王を彫る話」は『夢十夜』の第六夜です。

『こころ』【2】

「物事には順序というものがある。未成年が酒を飲むなど、漱石の数ある名著を読むのに『こゝろ』から始めるのと同じくらい愚昧なことだ」

(『神様のカルテ2』より)

一止が屋久杉にかけた言葉です。一止曰く『こころ』だけ読むのは駄目だとのこと。

2.医学書

一止が医師なので時折医学書のタイトルも登場しますが、ほとんどが正規の用途とは違う使われ方をしています。

『ハリソン内科学』【1、3】『ネッター解剖学』【1】
『戸田細菌学』【1】『戸田新細菌学』【3】(『戸田細菌学』というタイトルの本はぱっと見つかりませんでした。『戸田新細菌学』と同じものでしょうか)
これらの本の箱の中に一止は日本酒を保管しています。中身は医学部を卒業した際に後輩に譲ったとのこと。『ハリソン内科学』の箱からは『神様のカルテ』では「白馬錦」、『神様のカルテ3』では「信濃鶴」の四合瓶が出てきています。
また『神様のカルテ』では医学書の箱にお酒を保管していることは榛名に内緒だと書かれていましたが、『神様のカルテ3』では榛名が積み上げられた医学書の中から的確にお酒が保管された箱を取り出しているという描写があります。流石は榛名、よく分かっていますね。

『標準外科学』【2、0】
一止が医学部4年の春、如月千夏と再開した時に持っていました。千夏はこれを見て一止が医学部の先輩だったと知ります。
『神様のカルテ0』では一止がこの本で勉強している姿が見られます。

『ステッドマン医学大辞典』【0】
『標準外科学』同様に一止が勉強する際に使用している姿が見られます。

3.一止が読んでいる本

『夜明け前』:島崎藤村 著【1】
一止が高校生の時に古本屋で購入し幾度となく読んだ本。御嶽荘を去る学士殿に贈りました。

『恋愛論』:スタンダール 著【2】
進藤辰也と如月千夏が付き合っていることを知って、一止が寮の中庭で燃やした本。

『四畳半』:永井荷風 著【3】
「栗原の高座敷」を成していた1冊で、遊びに来た進藤辰也がコーヒーをこぼしてしまった本。一止曰く「二度と手に入らない奇書だった」。
詳細はよく分かりませんが、岩波書店の『荷風全集 第1巻』に収められているらしい『四畳半』なのでしょうか。

『ソラリス』:スタニスワフ・レム 著【新】
『華氏451度』:レイ・ブラッドベリ 著【新】

SF小説を読む双葉佐季子に対して一止が面白かったと挙げた作品。他にもアイザック・アシモフジェイムズ・P・ホーガンなども読むと話しています。

『太宰と芥川』:福田恆存 著【新】
大学院生でもある一止が大学図書館で借りた本。文学に関する本ばかり借りていく一止を司書は文系学部の先生だと思い込んでいるとのこと。

『歯車』:芥川龍之介 著【1】
『春昼』:泉鏡花 著【2】
『五重塔』:幸田露伴 著【3】
『若い医者の日』:ハンス・カロッサ 著【0】
『美徳のよろめき』:三島由紀夫 著【新】

その他、森鴎外を読んでいるという描写もあるのですが具体的なタイトルは見つかりませんでした。

4.他の登場人物にまつわる本

『曙光』『善悪の彼岸』:フリードリヒ・ニーチェ 著【1】
学士殿が御嶽荘を去る前夜、一止と飲んでいるときに語ったのがニーチェの著作についてでした。

『夜と霧』:ヴィクトール・フランクル 著【2、3】
榛名の一番の愛読書で、登山の際にはいつも持っていた一冊。榛名からこの本を借りた屋久杉は夢中になって読み、屋久島に行くことを決心します。

『ジャン・クリストフ』:ロマン・ロラン 著【3】
榊原信一の愛読書。上下巻からなる豪華版を所持していましたが、上巻はずっと東西直美が借りたままでいました。榊原に会う口実を作るために借りたという東西はこの本をほとんど読まずに返しましたが、後に読んでいるようです。

『ペスト』:アルベール・カミュ 著【0】
一止が訪ねた際に國枝正彦さんが読んでいた本。国語の先生だったという國枝さんの蔵書はとても多く、夏目漱石森鴎外といった日本の作品はもちろん、フョードル・ドストエフスキー(ロシア)、オノレ・ド・バルザック(フランス)、ジョン・スタインベック(アメリカ)など世界中の作品が見られます。

『完全な真空』:スタニスワフ・レム 著【新】
『闇の左手』:アーシュラ・K・ル=グウィン 著【新】
『時間封鎖』:ロバート・チャールズ・ウィルスン 著【新】

いずれも双葉佐季子の本。意外と単純作業が多いから、と実験しながら本を読むというのが双葉のスタイルです。読むのはSFが多く、他にダン・シモンズハル・クレメントの名前も出てきます。

『ニーチェ』:ジル・ドゥルーズ 著【新】
『意味の意味』:チャールズ・ケイ・オグデン、アイヴァー・リチャーズ 著【新】

学問の道を邁進する学士殿が読んでいた本。

『もこ もこもこ』:谷川俊太郎 作、元永定正 絵【新】
『みつけてん』:ジョン・クラッセン 作、長谷川義史 訳【新】

小春が大好きだという絵本です。

5.その他

本文中で挙げられている作品です。

『楢山節考』:深沢七郎 著【2】
冒頭の一文が信州の山を記した名文だと言っています。

『後拾遺和歌集』【3】
源重之が信州の温泉地を訪れた際に詠んだ歌が引用されています。

『神曲』:ダンテ・アリギエーリ 著【新】

“汝は汝の道を行け”
かの歴史的大作『神曲』に、そんな魅力的な言葉が刻まれている。

(本文より)

一止と北条先生の会話にも登場しています。

『平家物語』【新】
「鬼切の北条」のあだ名の由来となったのが、『平家物語』で渡辺綱が茨木童子の腕を切り落とした刀「鬼切」だと語られています。

医療を題材にした作品ではありますが、作者の夏川草介さんが小説を読むのがお好きということが色濃く反映されていますね。登場する種々の作品が『神様のカルテ』の世界に更なる奥行きを与えているように感じます。

★『神様のカルテ』シリーズに関する記事はこちら→夏川草介 著『神様のカルテ』シリーズに関する記事の一覧

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