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柚木麻子 著『本屋さんのダイアナ』に出てくる本のまとめ

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※ネタバレありの記事ですのでご注意ください。

目次

  1. 『本屋さんのダイアナ』あらすじ
  2. 登場した本・作家
  3. 『秘密の森のダイアナ』
 

1.『本屋さんのダイアナ』あらすじ

「矢島ダイアナです。本を読むのが好きです」

(本文より)

世界一ラッキーな女の子になるようにと付けられた名前が「大穴(ダイアナ)」…この名前のせいで人生に絶望していた彼女でしたが、同級生の神崎彩子は「ダイアナ」という名前を肯定してくれました。
良家の子女である彩子とダイアナは正反対のようでしたが、本という共通項もありすぐに親友になります。ところがあることをきっかけにすれ違ってしまい…別々の道を歩みながら大人になっていくふたりの14年間を描いたガール・ミーツ・ガール小説です。

2.登場した本・作家

ダイアナは小さい頃からたくさんの本を読んでおり、本屋で働くことが夢。高校を出てからは書店でアルバイトをはじめます。一方彩子も読書家で、中高では文芸部に所属し、大学はフランス文学科に進学します。
そのため『本屋さんのダイアナ』には実にたくさんの作品、作家の名前が登場します。

第1章 “ほんもの”の友達

『大草原の小さな家』:ローラ・インガルス・ワイルダー 著
『若草物語』:ルイーザ・メイ・オルコット 著
ダイアナのイメージするお母さん像として挙げられているのが、両作品に登場するお母さんです。

『赤毛のアン』:ルーシー・モード・モンゴメリ 著
ダイアナに対して変な名前だと言った同級生に向かって、彩子がダイアナは変な名前じゃないと引き合いに出します。『赤毛のアン』は当時小学3年生のダイアナに取って最も好きな本の一冊でした。
この『本屋さんのダイアナ』自体が『赤毛のアン』のオマージュのようにも取れ、『赤毛のアン』はその後もしばしば登場します。

 

『秘密の花園』:フランシス・ホジソン・バーネット 著
彩子の家にある英国風の庭の形容に用いられています。
また舞台のヨークシャーに彩子は中学3年次に短期留学に行きます。

『ぐりとぐら』:中川李枝子 作、山脇百合子 絵
彩子の母が、家に訪れたダイアナにカステラを作ろうと言ったときに例として挙げられます。

第2章 別世界の人

『おちゃめなふたご』『おてんばエリザベス』『はりきりダレル』
:イーニッド・ブライトン 著

彩子は山の上女学園という女子校を受験することになります。ダイアナが女子校に対するイメージとして挙げたのが上記の作品です。

『ライ麦畑でつかまえて』:J・D・サリンジャー 著
小学6年生のダイアナの愛読書。この頃のダイアナは大人っぽい作品を好むようになっていました。

『カレンの日記』『いじめっ子』『神さま、わたしマーガレットです』
:ジュディ・ブルーム 著

『ライ麦畑でつかまえて』は難しいという彩子にダイアナが勧めた作家がジュディ・ブルームで、こちらは彩子に取っても面白かったようです。

第3章 月光石のペンダント

『私の美の世界』:森茉莉 著
中学3年生になったダイアナの最近いちばんのお気に入り。この頃好きな作家は森茉莉(森鴎外の娘)と幸田文(幸田露伴の娘)で、彩子の母から「お父さんとの絆が強い女性作家が好きみたいね」と言われています。

 

『風と共に去りぬ』:マーガレット・ミッチェル 著
『嵐が丘』:エミリー・ブロンテ 著
『ジェーン・エア』:シャーロット・ブロンテ 著
『ボヴァリー夫人』:ギュスターヴ・フローベール 著

中学3年生になった彩子が読んでいる本。先生から「情熱的な女性の生涯を描いた作品が好きなようですね」と言われています。また彩子の母によるとジェーン・オースティンの作品もお気に入りとのことです。

第4章 森を出る

『悲しみよ こんにちは』:フランソワーズ・サガン 著
『危険な関係』:コデルロス・ド・ラクロ 著

『悲しみよ こんにちは』は彩子がフランス文学科を目指すきっかけとなった一冊。修道院の女学校に通っていたヒロインのセシルに親近感を覚えるとともに憧れも抱いているようです。
『危険な関係』にもまた修道院出身のセシルという女の子が登場し、彩子に取って「セシル」というのは魅力的で特別な名前となっています。

 

『長くつ下のピッピ』:アストリッド・リンドグレーン 著
インターネットの掲示板の『秘密の森のダイアナ』を批判する書き込みに対し、彩子が反論の中で例示したのが『長くつ下のピッピ』でした。

『夜中の薔薇』:向田邦子 著
高校3年生のダイアナは向田邦子のライフスタイルに憧れています。

『女の一生』:ギ・ド・モーパッサン 著
『げんきなマドレーヌ』:ルドウィッヒ・ベーメルマンス 著

フランス文学には修道院育ちの女の子が外に出るところからはじまる物語が多い、と『危険な関係』『ボヴァリー夫人』と共に彩子が例に挙げた作品です。

『アルプスの少女ハイジ』:ヨハンナ・シュピリ 著
祖母の前で積極的に振る舞おうと考えたダイアナがイメージしたのが『アルプスの少女ハイジ』だったようです。

『大きな森の小さな家』:ローラ・インガルス・ワイルダー 著
『怪人二十面相』:江戸川乱歩 著
『ナルニア国物語』:C・S・ルイス 著
『メアリー・ポピンズ』:パメラ・トラバース 著

ダイアナが母・ティアラが15歳まで過ごした部屋で見掛けた本。いずれもシリーズ全て揃っていました。
その他、アガサ・クリスティー、氷室冴子、三島由紀夫、太宰治、アレクサンドル・デュマ(父親のほう?)…とダイアナも好きな作家の作品が並んでいました。

『父の詫び状』:向田邦子 著
ティアラの蔵書の中でダイアナが特に目を留めたのが『父の詫び状』で、母も自分と同じように向田邦子に憧れたのだろうか、と考えます。

 

『小公子』:フランシス・ホジソン・バーネット 著
祖父母の家に行こうとするダイアナが「スタンスとしては『小公子』」と述べています。

第5章 分断された私

『幻の朱い実』:石井桃子 著
『孤独の発明』:ポール・オースター 著
『ローカル・ガールズ』:アリス・ホフマン 著

ダイアナが高校時代に隣々堂という書店で出会った作品。

『舞姫』『ヰタ・セクスアリス』:森鴎外 著
『枯葉の寝床』:森茉莉 著

高校を卒業し書店でアルバイトをはじめたダイアナ。店長の田所に森鴎外は上記2作品しか読んだことがないが、森茉莉は好きだと話します。
それに対して田所は「今度はマカロニでも食べましょうか」と答えます。『枯葉の寝床』に登場する青年がパスタをマカロニと呼んでいるそうです。

 

『アリーテ姫の冒険』:ダイアナ・コールス 著
『リンバロストの乙女』:ジーン・ポーター 著
『長い冬』:ローラ・インガルス・ワイルダー 著

『秘密の森のダイアナ』と共に、「働く大人も楽しめる少女小説フェア」として取り上げられた本。ダイアナは紹介のPOPを書きました。

第6章 呪いを解く方法

向田邦子、森茉莉、安井かずみ
一人暮らしをはじめたダイアナでしたが、彼女らのエッセイを読んで想像していた一人暮らしとは程遠い生活を送っていました。

『さよなら、「いい子」の魔法』:ゲイル・カーソン・レヴィン 著
ダイアナが書評ブログでおすすめしている一冊。「働く大人も楽しめる少女小説フェア」の第三弾となっています。

『アンの愛情』:ルーシー・モード・モンゴメリ 著
作家・はっとりけいいちが「仲違いしてしまった親友」について話したダイアナにおすすめした本。定番の本を勧められたことに落胆するダイアナに、はっとりは翻訳者の村岡花子さんの解説を読んでほしい、と言います。
このときダイアナは22歳でしたが、『赤毛のアン』は変わらず大好きなようです。ただしダイアナに取って面白いのは『アンの青春』までだとのこと。

 

『丘の上のジェーン』:ルーシー・モード・モンゴメリ 著
やっと巡り会えた父の姿に落胆するダイアナに対し、母・ティアラが「『丘の上のジェーン』みたいなお父さんはそうそういねえから」と慰めます。

『赤毛のアンのお料理ノート』:本間三千代、トシ子 著
彩子の母の蔵書。ダイアナと彩子はこの本を見ながら何度もビスケットを作っていました。そして22歳になった彩子はひとりで、再びビスケットを作ります。

3.『秘密の森のダイアナ』

『本屋さんのダイアナ』の中で何度も登場し物語の鍵となる作品です。
はっとりけいいち著(絵・文)、全5巻からなります。主人公ダイアナが意地悪な魔法使いの手により両親と生き別れにされるものの、自分の力で生きていく物語です。
ダイアナと彩子の愛読書にもなっている『秘密の森のダイアナ』ですが、実在の本ではなく架空の作品です。彩子の父が編集者として携わっています。
はっとりけいいちの著作はこの『秘密の森のダイアナ』のみでしたが、最終巻が出てから16年後、ダイアナが中学3年生の時に、書き下ろし短編が掲載されたムックが発売されます。

「私に命令できるのは、この世界で私ひとりだけ……。私だけが私のすすむべき道をしめすことができる……」

(本文より)

作中でしばしば引用される文章はとても魅力的で、この『秘密の森のダイアナ』も読んでみたいと思わされました。

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