やぶうち優著『少女少年III -YUZUKI-』

小学館の学年誌に掲載された『少女少年』シリーズの第3作です。

１．あらすじ

小さな島で生まれ育ち、もうすぐ小学6年生になる橘柚季。2人の兄からのいたずらに悩まされる日々から逃れるべく、芸能界デビューを目指して東京にオーディションを受けに行きます。
オーディションには合格した柚季でしたが、実は兄のいたずらにより性別＝女で申し込まれていて…憧れの東京での生活を手に入れるべく女として活動することを決意します。
故郷から遠く離れての活動、女の子同士の友情、プロとしての振る舞い…その中で柚季の気持ちも少しずつ変化していきます。

２．登場人物

登場人物の名前には植物しばりがあります。

クレジット表記の「キャスト」欄に載っている人物

名前	紹介	植物
橘柚季（たちばなゆずき）	主人公。小学6年生。男であることを隠し、女の子として芸能界デビューする。女装としてカツラはつけていないが、髪の毛を結ぶことはある。	橘、柚
佐倉ちよ子（さくらちよこ）	柚季の幼馴染で、島でたったひとりの同級生。	桜？
桃園ユリ（ももぞのゆり）	柚季と同じオーディションで合格し、ユニットを組む。	桃、百合
梅咲文華（うめざきあやか）	柚季と同じオーディションで合格し、ユニットを組む。柚季が男だと知った上で一緒に活動していく。	梅
橘柑一（たちばな？？）、橘檸檬（たちばな？？）	柚季の兄達。柚季を女装させるなどのいたずらをしていたが、柚季が上京してからは彼女をサポートする。	橘、柑、檸檬
村崎ツトム（むらさきつとむ）	『少女少年』から継続して登場（クレジットでは「友情出演」となっている）。本作では柚季が男であることを知らない。

その他の登場人物

名前	紹介
柚季の両親	柚季の父と母。女として芸能活動をするという息子に対し、三男だしと寛容な態度を示す。
吉田（よしだ）	デザイナー。柚季達の担当。
ヒロコ（ひろこ）	スタイリスト。柚季達の担当。
ボンバー鳥居（ぼんばーとりい）、西村（にしむら）	『小学六年生』の担当。

３．橘柚季の芸能活動

歌手

柚季、ユリ、文華の3人で『Girlish（ガーリッシュ）』というユニットを組みます。
デビュー曲『Girl’s Summer』発売時には全国プロモーションツアーで柚季の故郷の近くも訪れます。またこの1stシングル『Girl’s Summer（C/W 青い伝説）』は3位を獲得します。
実際に描かれてはいませんがTV出演などで大忙しとのことなので、音楽番組にも出ていると見られます。
2ndシングル『Girl in White』発売時にも全国ツアーを実施。柚季が『True Girl』という曲でソロデビューすることも決まり、合わせてPRを行います。

雑誌の取材

『小学六年生』のインタビューを受けています。その他に『aicola』という雑誌（イメージは『nicola』でしょうか）でも特集が組まれています。

４．結末：芸能活動を続けていくのか？

» 以下ネタバレあり

Girlish2度目の全国ツアーの最中、ちよ子が盲腸で入院します。腹膜炎になりかけという状態だと聞いた柚季はちよ子の元に駆けつけることを希望しますが、村崎から「プロである以上割り切ってほしい」と諭されます。
手術が無事に終了して安心する柚季でしたが、ちよ子がうわ言で柚季のことを何度も呼んでいたと聞き、「こんなの本当の自分じゃない」とステージ上で歌手を辞めることを宣言します。
引き留めようとする村崎に自分が男であることを明かした柚季。「女装して続ける気はないか」と粘る村崎（女装男子にもだいぶ慣れてきたのでしょうか）でしたが、柚季はきっぱり断ります。
芸能界を引退した柚季は帰郷します。『少女少年』『少女少年II』と異なり最後まで男であることは世間に知られませんでした。

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５．小ネタ（他作品との関連）

ところどころに他の巻ややぶうちさんの他の作品とのつながりが見られます。

ユリと柚季がオーディションで歌ったのは『少女少年』に登場する白川みずきの『天使の予感』
『小学六年生』の担当として登場する西村は『少女少年II』に登場する西村と似ている（が、同一人物ではないと思う）
最後に村崎が「次はロングヘアの子にしよう」と言っていて、『少女少年IV』の主人公はロングヘアである

また、『少女少年』『少女少年II』『少女少年III』は登場人物の配置と名前の響きが似たようなものになっています。

少女少年	少女少年II -KAZUKI-	少女少年III -YUZUKI-
水城晶＝白川みずき	星河一葵（かずき）	橘柚季
赤沢智恵子		佐倉ちよ子
青野るり	日比野絵梨	桃園ユリ
黒木紗夜香	望月マユカ	梅咲文華
	風間トキオ